RAD(Rapid Application Development) ツールと ローコードツールは、ソフトウェア開発を単純化し高速化を実現することを長らく目指してきました。これらのツールは、「ドラッグ&ドロップ」操作によって設定を行うビジュアルインターフェイスを、従来のIDEにおけるコードビューやツール機能との統合を密接にリンクしていくことで、長年にわたって優れた成果を上げてきたのです。
JavaScriptがさまざまなフレームワークとともに普及する中で、統一された仕様やルールが存在しないことが、問題をより深刻にしました。ビジュアルインターフェイスを使ってコードを生成するのは簡単なことですが、ビジュアルインターフェイスとコードビューを同期させることは容易ではなくなったのです。最新の最も成功を収めているローコード製品においても、ソリューションがビジュアルサポートのないアドオンやサードパーティ製のアドオンを必要とすることが多いため、この問題は依然として存在します。両者の統合を維持するには、ビジュアル(および非ビジュアル)フレームワークを厳密に管理する必要があり、独自仕様の部分が少ければ少ないほど、その管理は困難になります。
目次:
伝統的なRADとローコードではコードとビジュアル開発の2つのビューを提供
最新のローコードソリューションでは、この問題をよりよいかたちで解決し、メインで使用している開発環境の外で作業をする必要が減少してきています。

しかし、AIの台頭により、新しい開発パラダイムが作られつつあります。今や、プロンプトベースのインターフェイスにより、多くのコードを生成できるようになりました。これまでコードとビジュアルの2つのビューであった開発環境に、新しいビューが加わったのです。
Lovableからのインスピレーション
Lovable (www.lovable.dev) のような新興プラットフォームは、高速開発とAIの融合によって、何が可能になるかを示しています。自然言語プロンプトを使って、ユーザーは実際に動作するアプリケーションをわずか数分で構築できます。直感的で高速なので、開発を始めるにしても、実験してみるにしてもいい感触です。

しかし、ここでも同じ問題に直面します。つまり、得られたコードは、静的なコードベースとなってしまうのです。AIは生成したコードとの関係性を維持することはできず、AIによる作成フェーズとより詳細なカスタマイズのフェーズとの間を、容易に行き来することもできないのです。最初の魔法を使い終わったら、あとはほぼ独力で進めていくしかないのです。
将来:トリプルビューのIDE
このような状況を考えると、開発ツールは将来、3つのモードを完全に統合するかたちでサポートしなければならないでしょう。
- AIプロンプトビュー: 何をしたいかを、自然言語で記述して始めることができるモードです。ログインページ、ダッシュボード、ワークフローなど、必要なものを説明したら、あとはAIに任せることができます。
- ビジュアルエディタービュー: ドラッグ&ドロップ操作は依然として有用です。レイアウト、UXデザイン、アプリケーションフローの理解を高速化します。
- コードビュー: 開発者は、常にコードを完全にコントロールできることを望みます。パフォーマンスの最適化、動作のカスタマイズ、問題のトラブルシューティングなど、どのような目的に対しても、クリーンでモジュール化されたコードにアクセスできることが不可欠です。
重要なブレークスルーは、これら3つがすべてリアルタイム同期することです。コードに変更を加えると、ビジュアルビューとAIプロンプトの履歴がそれに応じて更新されます。レイアウトをビジュアルに編集すると、その背後にあるコードがきれいにリファクタリングされます。AIプロンプトを調整すると、その変更はビジュアルエディタービューとコードビューの双方に反映されます。
RADツールとローコードツールへの影響
RADツールが、時代の変化に対応し、最新であり続けるには、以下の要件を満たす必要があります。
- AIを活用: 開発のスタート段階での利用だけでなく、開発者とともに協業するパートナーとして機能します。
- ラウンドトリップを可能に: ビジュアル、AI、コードを単方向ではなく、それぞれラウンドトリップできる。
- 標準フレームワークの採用: React、Angular、Vueなどの標準フレームワークを採用して、ベンダーロックインを回避します。
- メンテナンス性の確保: 開発者がアプリケーションの拡張やカスタマイズに苦労しないこと。
既存のRAD環境は、この新しいパラダイムに適応しなければ、時代遅れになってしまいます。開発者は、コードへのコントロールを犠牲にすることなく、AIのスピードとビジュアルデザインの明快さを求めています。
RADとローコードへの優位性
企業は、ビジュアルとコードビューの一貫性の問題に対応するため、広範で、しばしば独自のフレームワークに依存しています。AIを学習させるための膨大なコンピュータ言語コンテンツは存在しますが、これらの独自のツールチェインについては、それだけのものが存在しません。これらのエンジンを機能させるAIコンテンツを作成するのに、ツールベンダーは最適な立場です。そして、より複雑なアプリケーションの構築に必要とされるツールを統合する点でも、ベンダーは有利な立場にあります。

最後に
私たちはまさに転換点にいると言えます。未来のツールは、開発者にスピードとメンテナンス性、抽象化とコントロールの二者択一を迫ることはありません。むしろ、AI駆動型のプロンプト、ビジュアル構成、そしてフルコード編集という、モダンな開発に求められる3つの側面すべてを、シームレスに統合することを可能にするでしょう。
「トリプルビュー開発」は単なる仕掛けではなく、必然なのです。そして、これこそが、従来のRADツールとローコードツールと、インテリジェントでコラボレーティブなこれからの環境との懸け橋となるものなのです。
本ブログ記事は、 Atanas Popovの「Rethinking Low Code and RAD for the AI Era: Why Triple-View Development Is the Future」の抄訳です。
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