iOS向けのアプリケーションをApp Storeに登録する場合はIPv6でアプリが動作することが必須となりました。そしてIPv6でアプリが正しく動くか否かの確認にはIPv6だけの試験環境が必要です。しかし自組織内に IPv6 only のネットワーク自体が準備できていないケースも多いことでしょう。
ですが、IPv6の試験ネットワークはMac OSX 10.11 El Capitanの「インターネット共有」機能を使えば簡単に作ることができます。その手順はApple のサイトでも公開されていますが、実際に試験ネットワークを利用する場合にはいくつかの注意点があります。ここではその注意点も踏まえつつ、その手順を簡単に紹介いたします。
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注意
試験用のネットワークを作成することは「WiFi APを新規に設置する」ことと同義です。
このことは、所属組織の情報セキュリティポリシーによっては、今回のような方法で試験ネットワークを構築することが問題となる可能性があることを意味します。設定内容、運用方法を自分の所属長やネットワークインフラの管理担当者に予め相談するなど、社内規定上の問題が生じないように注意する必要があります。
もし可能ならば、手元のMacで一時的な環境を構築するかわりに、「NAT64、DNS64が利用可能なIPv6 onlyのWiFiを常設で設置」してもらえるように社内的な手続きを進めるほうが良いでしょう。
準備物
- Mac OSX 10.11 El Capitan インストール済みの Mac
- 有線LANアダプタ
この手順では 10.11 El Capitan がインストールされたMacは必須です。
有線LANアダプタは純正品でもサードパーティ品でもかまいません。有線LANが手配できない場合の回避方法もあるにはありますが、ここでは省略します。
事前に決めておく項目
- WiFi AP 名称
- WiFi AP パスワード
WiFi AP の名前については特にコメントすべき事項はありません。WiFi AP の名称の末尾に “ _optout_nomap” を付与すれば当該WiFi情報と位置情報の組み合わせを Google や Microsoft に収集させないための意思表示にはなりますが、展示会等に持ち込む可能性のない WiFi AP ではそこまでの配慮は不要でしょう。(展示会の会場では様々な場所で用いられていた WiFi AP が会場に持ち込まれるが、これらは持ち込む前の場所の情報が紐づいているため、WiFiを使用した位置測位が狂いやすくなる場合がある)
また、WiFi AP のパスワードは、試験用の仮設といえども十分な暗号強度の文字列を設定すべきです。インフラ管理者の了承のもとに試験ネットワークを作成する場合は、インフラ管理者から指示されたパスワードを設定するのが妥当です。特に指示がない場合は8文字以上で十分な暗号強度の文字列を用いればよいでしょう。たとえばMac のターミナル上で以下のようにコマンド実行すれば16文字のランダム文字列を20通り生成できます。
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LANG=C tr -dc <span class="hljs-string" style="color:#0000ff;font-weight:bold;">"a-zA-Z0-9"</span> < /dev/urandom | fold -w <span class="hljs-number">16</span> | head -<span class="hljs-number">20</span> |
必要に応じて調整する項目
- WiFi チャネル設定
インフラ管理者からの指示がない場合は、WiFi Analyzer 等で自組織の AP が使っていないチャネルを確認して設定すると、既存の WiFi AP への干渉が軽減されます。
作業手順(8ステップ)
- 「システム環境設定」を開き、option キーを押しながら「共有」を選ぶ
- option キーを押したままで「インターネット共有」を選ぶ
- 「NAT64 ネットワークを作成」にチェックを入れる
- 「Wi-Fi オプション」を押す
- セキュリティ = WPAパーソナルを選択し、ネットワーク名、パスワードを設定する
- 「共有する接続経路」に有線LANを選択する
- 「相手のコンピュータでのポート」には Wi-Fi を選択する
- 「インターネット共有」を開始する
アプリケーションを試験ネットワークで検証する
App Store に申請する予定のアプリを実際に試験ネットワークに接続した状態で利用して正しく動作するかを確認します。この時にiOSデバイスはデータ通信をWi-Fi側に限定するために、下記のいずれかの設定を行っておきます。
- 機内モードを有効に設定した上で、Wi-Fiをオンにする。
- SIMを抜く。
- モバイルデータ通信を無効にする。
いずれの設定も、モバイルデータ通信を使用しない状態にする点では同じですが、その効果が異なります。それぞれの意味やアプリの動作や機能を考慮の上で適切な方法を選びます。
参考記事
Supporting IPv6-only Networks (developer.apple.com)
Supporting IPv6 DNS64/NAT64 Networks (developer.apple.com)
Design. Code. Compile. Deploy.
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