
他のブログ記事で紹介されている数多くの機能や改善点に加えて、RAD Studio 12.3では、VCLライブラリのさまざまな分野において強化が行われました。今回のリリースでは、品質向上に主なフォーカスを当てていますが、エンバカデロの開発チームはいくつかの小規模で実用的な機能も追加しています。
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ImageCollection エディタの改善
ImageCollectionコンポーネントは、HighDPI対応のVCLアプリケーションを構築するために数年前に導入されました。このコンポーネントでは、同じ画像の異なる解像度バージョンを登録しておくことができるため、画像を単純に引き伸ばしたり縮小したりせずに、最適な解像度の画像を使うことができます。これにより、UIの見た目が大きく損なわれるのを防げます。
このコンポーネントの詳細や使い方については、以下のリンクをご覧ください:

そして、RAD Studio 12.3では、このImageCollection内の画像を編集するやや複雑なエディタに対して、いくつかの小さな改善が加えられました(改善されたImageCollectionエディタは、上図を参照ください)。
- ImageCollectionエディタは、前回の使用時に指定したファイル名とサイズの区切り文字を記憶するようになりました。これにより、同じ場所から複数の画像グループを追加する際に、毎回設定し直す必要がなくなり、作業が効率化されます。
- また、これまで対応していたファイル形式に加え、新たに .icoファイルもサポートし、より多様な画像フォーマットに対応可能になりました。
VCLのグラフィック関連の改善
さらに、VCLの画像処理に関連する部分にも以下のような改善が行われています:
- TPngImageでは、透過性のある画像を読み込む際の動作が改善され、スケーリングされたカラーパレット上や ImageList に読み込んだ際にも、より正確に表示されるようになりました。
- 画像付きのポップアップメニューの表示がよりスムーズになりました。
- TGIFImageのアニメーション速度(AnimationSpeed)の挙動が改善されました。
その他のVCL品質改善
VCLにおけるその他の注目すべき改善点としては、以下のようなものがあります:
- フレーム上でスタイル付きのステータスバーを使用可能に
- ツールバー上でのチェックボックス表示に対応
- HeaderControl でのチェックボックス描画の改善
- 画像を含むボタンに対して、ImageMargins(画像余白)が正しく適用されるように改善
- OwnerDraw スタイルのメニュー項目に対して、OnMeasureItem イベントが適切に呼び出されるように改善
これらは、改善された内容のほんの一部です。実際にエンバカデロの開発チームは、VCLライブラリに関して100件以上のお客様からのリクエストに対応し、多くの問題を解決しています。RAD Studioの他のライブラリでもさまざまな改善が行われましたが、VCLがお客様にとって非常に重要である点を踏まえると、今回の取り組みは特に価値があると感じました。
まとめ
RAD Studio 12.3では、HighDPI対応をよりスムーズに行えるImageCollectionコンポーネントがさらに進化しました。複数解像度の画像管理を1つのコレクションで完結できるこの機能は、拡大・縮小による画質劣化を防ぎ、高精細なUI構築に最適です。
今回のアップデートでは、使用した区切り文字の記憶機能や.icoファイルのサポートが追加され、画像の一括取り込み・管理がより効率的に。たとえば、複数の解像度バリエーションを持つ画像セットを一度に取り込む作業が、これまで以上にスムーズに行えます。
さらに、100件を超えるお客様からのフィードバックを反映した修正により、既存コードの安定性も向上しています。特にVCLを活用したデスクトップアプリ開発において、信頼性と生産性を一段と引き上げるリリースとなっています。
