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C++DelphiIDEニュース

RAD Studio 10.4.1のIDE新機能

10.4.1は品質向上に重点を置いたリリースとなっており、これはIDEにも該当いたします。 お客様からご要望が非常に多かった変更点を含め、多くの項目に対応しています。詳しくは以下をご覧ください。

「品質向上に重点を置いたリリース」とは、新機能の導入が目的ではなく、その名の通り、品質に重点を置いています。このリリースで品質向上の修正に占める割合は全体の95%に及び、10.4.1がいかに品質向上に重点を置いたリリースであるかご理解いただけると思います。なお、10.4.1では、IDEに関しても非常に多くの項目の修正が行われており、さらにお客様から非常に要望が多かったIDEの新機能もいくつか追加されています。

このブログ記事では、以下のセクションで構成しています。

  • フローティングフォームデザイナ
  • レイアウトとマルチモニタ
  • 注目すべき修正点

1つ目は古いIDE機能の変更、2つ目はIDEの新機能とエンバカデロが注力し、今回特に注目していただきたい主要なエリアです。

フローティングフォームデザイナ

2003年以降、RAD StudioのIDEは「ドッキング」されています。つまり、パレット、オブジェクトインスペクタ、メッセージ、ウォッチなどのツールウィンドウをドラッグしてフロートさせることができますが、IDEの全体的なデザインは統合されたウィンドウです。 具体的には、エディタとフォームデザイナがメインウィンドウに統合されています。

「フローティングフォームデザイナ」は、IDEオプションの[埋め込みデザイナ]を無効にすることで、フォームデザイナを他のウィンドウと独立したウィンドウとして表示することができるものです。つまり、メインIDEには埋め込まれておらず、フォームデザイナがコードエディタとは別のウィンドウとして表示されるDelphi 1~7頃の古いスタイルの動作を模倣しています。

この動作は17年前から現在のドッキングデザインのスタイルに置き換えられており、古いスタイルで表示させるには手動でオプションを変更する必要がありました。

そして残念ながらこのオプションを切り替えると正常に動作しないという経緯がありました。 エンバカデロではこれまでの経緯を考慮し、フローティングフォームデザイナの機能を削除するという苦渋の決断をいたしました。

これは何を意味するのでしょうか?例えば、複数のエディタやデザイナウィンドウを持つことができなくなるということでしょうか?

いいえ、決してそういう意味ではありません。

実際、必要に応じて複数のモニタ上に複数のエディタウィンドウを配置することができ、それぞれのモニタでフォームデザイナを表示できます。さらにUXまたは動作の微調整など、この分野の機能に対するサポートの強化も行っています。

上図の例では、RAD Studioが2台のモニターに表示されています。いつでもタブを右クリックして[新しい編集ウィンドウ]を選択できます。2つ目または3つ目の編集ウィンドウが表示されたら、タブ間でタブをドラッグでき、かなりスムーズに動作できます。10.4.1では、タブとドラッグタブ、編集ウィンドウ、フォーカスの問題に関する多くの動作の問題が解決されています。

上図の例では、IDEで2つのフォームを同時に設計しています。メインウィンドウは右側の画面にあります。右側にドッキングされたオブジェクトインスペクタには、2つのフォームのうち最後に作業したフォームの情報が反映されます。

この分野で取り組んだ2つの本当に注目すべき項目は、以下の通りです。

  • IDE では、構造ペインで項目をクリックすると、構造ペインがスクロールして間違った項目が選択される問題がありましたが、10.4.1で解決されてます。さらに10.4.1では項目をクリックする場所や別の項目が選択された場所などが含まれるように改良されているので、使い勝手が向上しています。
  • 一度に複数のフォームを設計している場合、構造ペインとオブジェクトインスペクタには、ドッキングされたウィンドウのフォームデザイナの情報が反映されていましたが、10.4.1では常に編集中のフォームが反映されるようになりました。つまり、どこにドッキングされているかに関わらず、開発者が作業中のフォーム情報が常に表示されます。ここでの重要なポイントは、10.4.1では、複数の画面でフォームのデザインが出来るように改良されている点で、以前のバージョンと比べて優れていることに注目ください。

一見些細なことに見えるかもしれませんが、以前までの挙動は作業中に邪魔となる「煩わしい」動作でした。10.4.1では、この「煩わしい」動作が改善されたことで、今まで不便に感じた開発者に改めてお勧めすることができます。

レイアウトとマルチモニタ

マルチモニタでIDEを操作する際のレイアウトに関して、お客様からよく要望されていた機能を1つ追加しました。

デスクトップレイアウトは、IDEが置かれているモニタを含む IDE ウィンドウの位置と場所を保存し、独自のレイアウトを作成することも、既存のレイアウトを上書きすることも可能です。レイアウトは、IDEのタイトルバーのデスクトップ/ムーンアイコンをクリックし、”デスクトップを保存”ダイアログで、新しい名前または既存の名前を選択して保存できます。

IDEのレイアウトは、IDEメニューの[ツール]-[オプション]-[IDE]-[自動保存とデスクトップ]ページで制御でき、このメニューで選択されているレイアウト情報を自動的に読み込んで適用します。またデスクトップレイアウトを選択するには、IDEのタイトルバーのコンボボックスをクリックしていつでも選択できます。

IDEを複数のモニタ画面で用途を使い分けて使用している開発者もいます。例えば、メインモニタ画面でIDEを全画面(フルスクリーン)表示し、デバッグ時にはセカンドモニタにIDE画面を移動させて使用するケースです。言い換えると、通常の開発時にはメインモニタにIDEを表示し、デバッグ時にIDEをセカンドモニタに移動させて、アプリをメインモニタに表示させたい時の操作です。

以前のバージョンでこれを行うためには、IDE をセカンドモニタに移動し、デバッグレイアウトを保存することで可能でした。これによってデバッグ実行の度にIDEはセカンドモニターに移動します。ただ、ここで重要なのは、この設定を毎回手動で行なわなければならず、面倒でした。

多くの開発者は、特定の画面のレイアウトを手動で保存したくありません。 代わりに、IDEを移動して、配置した位置に留めておきたいと考えています。 以前のバージョンでは、IDEをセカンドモニタへドラッグして[実行]をクリックし、デバッグレイアウトをセカンドモニタに明示的に保存していなかった場合、IDEのレイアウトが切り替えると、メインモニタに戻ってしまいます。 この動作はマルチモニタを使用する開発者にとって望むものではなく、煩わしい動作の1つでした。

10.4.1 では、IDE の移動方法を制御するための設定が導入されました。これにより、IDE に「移動しないで、開発者が配置した場所に留まる」または「特定の状況でのみ移動する」ことができます。新しい設定は、 IDEメニューの[ツール]-[オプション]-[IDE]-[自動保存とデスクトップ]ページの [レイアウトと複数モニタ] に追加されています。これにより、レイアウトを変更する際に IDE が画面を移動できるタイミングを選択できるようになりました。

新しいオプションの画面

新しいオプションは、以下の通りです。

  • IDEを常に同じ画面に維持: (この設定は、以前と同じ動作で、IDEはレイアウトが保存された画面を確認し、その場所へ移動します)
  • デバッグレイアウトとの画面切り替えの変更のみ許可: (この設定は、デバッグ時にIDEをセカンドモニタに配置したい場合にのみ使用できます。 デバッグの開始または停止時にのみIDEを移動できます)
  • レイアウトの変更時に画面の変更を許可: (この設定は、IDE はモニタを変更せず、開発者が置いた場所に常に留まります)

上記の新しい設定は、IDEの配置場所を制御するのに非常に役立ちます。 いつでもタイトルバーのデスクトップ/ムーンアイコンを使用してレイアウトを保存し、タイトルバーのコンボボックスを使用してレイアウトを選択できます。 これらの新しい設定と組み合わせて、IDEの外観と必要な場所に配置することができ、常に自動的に配置およびレイアウトされるように構成できます。

注目すべき修正

  • パッケージ AUTO libsuffix: パッケージが、バージョン サフィックスの自動割り振りに対応しました。これにより、新しいリリースのたびに、正しいバージョン サフィックスに手動して更新または指定する必要がなくなります。
  • オプション ダイアログ(環境オプション)は、以前は Win64 ターゲット プラットフォームの設定を表示するため開かれていました。現在、その時点でアクティブなプラットフォームに従って開きます。
  • オブジェクト インスペクタについて修正が複数あります。 特に、フリッキングと誤ったプロパティの選択について行われました。
  • [無効なパスの削除]で有効なパスが削除されなくなりました。
  • プロジェクト オプション、IDE オプション、GetIt、そして[項目の新規作成]ダイアログが、スクロールバー追跡対応となりました(スクロール バーをドラッグすると移動します)。これには、マウス ホイールでのスクロールも含まれます。
  • プロジェクトビューには、ツールバーのドロップダウンから再利用可能なオプションがいくつか用意されています。

通常、問題を強調することはありませんが、上記に挙げた項目は発生する可能性が高い問題であり、10.4.1で解決されていることを知っておく価値があるため、ご留意ください。

総括

10.4.1は、品質と改善に重点を置いた品質の高いリリースとなっています。IDEの多くの微調整や修正と同様に、レイアウトやマルチモニタに関する新機能がいくつかありますが、これは以前から要望の多かったもので、皆様に満足いただけることを願っています。

10.4.1は、800以上ものバグ修正が行われています。そしてインストールする価値のあるバージョンになることを期待しています。是非 my.embarcadero.comからダウンロードしてみましょう!

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