エンバカデロのチーフエバンジェリストである Ian Barker は、先日「Who uses Delphi ?」という内容のウェビナーを行いました。

本ブログでは、彼の解説を交えてウェビナーの内容を少しご紹介いたします。

Delphiは時代遅れ?

Delphiは、世界でトップ10に入る開発言語としてよく紹介されます。
にもかかわらず、「古い」「時代遅れ」などという的外れな批判を受けることがあります。
これは、Delphiをあまり知らない人や、誤解している人たちが言っていることです。

ですが実際は、エンバカデロのブログでも紹介しているように、RAD Studio 12.3がリリースされたばかりです。
それにも関わらず、「Delphiは古い」「もう更新されていない」などという主張が見られるのは驚きです。
そういった誤解の中には、「Delphiは恐竜のような存在だ」とまで言う人もいます。

しかし事実は全く逆で、Delphiは、現在トップ10に入る開発言語の中で4番目に新しい言語です。

DelphiはJavaやJavaScriptと同じ年に登場。そしてPythonやC++よりも新しい!

実は、DelphiはJavaやJavaScriptと同じ年に誕生しました。
さらに、PythonやC++、SQLよりも若い言語です。

たとえば、JavaはDelphiよりたった3か月若いだけですし、JavaScriptも同じ年にリリースされています。

それなのに、「Delphiは古い技術だ」と決めつけるような偏見が残っているのが現状です。
まるで「Delphiを時代遅れとして無理やり片隅に追いやろうとしている」ようにも感じます。

でも実際は、Delphiは多くの有名な言語よりも新しく、トップ10の他の言語と同じくらいの歴史を持っています。
では、なぜそこまで避けられるのでしょうか？
もしかして、Delphiを使ってみた友人が気に入ってしまうのを恐れているのでしょうか？

あるいは、Delphiの抜群の安定性、驚くべきパフォーマンス、Windows/macOS/iOS/Android/LinuxといったマルチプラットホームのOSで、ほとんど依存関係なしにネイティブアプリを作れる力に魅了される初心者を引き止めたいからなのでしょうか？
正直、理由はよくわかりません。

誰がDelphiを使っているのか？──実はかなり多くの人たちです

Delphiについて面白い事実のひとつは、あなたが今日、もしくはここ1か月以内に、Delphiで作られたアプリに接している可能性がとても高いということです。

なぜなら、世界中にDelphiで作られたシステムが数多く存在しているからです。

たとえば、空港に行った、テレビを見た、電車に乗った──これらの行動のどれかひとつでも当てはまれば、その裏側でDelphiが動いていた可能性は非常に高いのです。

仮に何もしていなくても、あなたの頭上400kmの宇宙では、宇宙飛行士がDelphiアプリで目の検査を行ったノートパソコンを使って、地球を見下ろしていたかもしれません。

たった1つのDelphiアプリが、年間8億人に使用されている

「AviaVox」という会社のDelphiアプリは、35以上の言語で、安全案内や旅行情報を年間8億人に届けています（出典：Merijn Bosma, AviaVox）。

ウェビナーでは、Merijn氏のスライドだけでなく、Delphiを使っていることを伝えてくれた多くの企業の事例も紹介しました。

実は、Delphiを使っている人や製品、プロジェクトの例はあまりに多くて、すべてを紹介しきれないほどでした。

Delphiは、「静かに成功している」ツールとして、さまざまな場所で活躍しています。しかも、他の技術によく見られるような不安定さや信頼性の低さがありません。
また、スクリプト言語やWeb技術のような脆弱性にも悩まされにくいのです。

適切な使い方をすれば、C++やRustにも引けを取らない処理性能を発揮しながら、初心者にも扱いやすく、理解しやすいというのがDelphiの大きな魅力です。

アムステルダムのスキポール空港の新しい搭乗エリア（New Pier）でも、Delphiが使われています。

このプロジェクトでは、旅客の管理やドアのアクセスセキュリティなど、さまざまなシステムをDelphiが制御しています。
しかも、トラブルもなく、非常に安定した運用ができているのです。

──これが本当に“恐竜”と言えるでしょうか？

「Who uses Delphi?」ウェビナーのリプレイ(再放送)を見るには？

以下のリンクから「Who uses Delphi?」ウェビナーのYouTube録画を見ることができます。

まとめ

Delphiは「古い」「時代遅れ」と誤解されがちですが、実際にはJavaやJavaScriptと同じ時期に誕生し、現在も活発に開発が続けられているプログラミング言語です。最新のRAD Studio 12.3のリリースからも、その進化は明らかです。

Delphiの大きな特徴は、その「静かな成功」にあります。見えにくいところで多く使われており、空港の案内システム、電車の運行管理、テレビ放送、宇宙飛行士の健康管理アプリなど、私たちの日常の裏側にDelphi製のシステムが多く存在します。特に、AviaVox社のDelphiアプリは35言語で年間8億人に情報を届けており、その影響力は計り知れません。

さらに、DelphiはC++やRustに匹敵する性能を持ちながら、初心者でも扱いやすく、マルチプラットフォーム開発にも強いため、企業から信頼されています。