
Embarcadero MVPのDion Mai氏は、以下のウェビナーで古いバージョンのDelphi(特にDelphi 7)を使い続けることの生産性上の問題点を指摘しています。Delphi 7は22年前の技術であり、新バージョン(Delphi 11など)と比較すると、生産性や開発効率が大きく低下します。また、新しい言語仕様やIDEの機能が利用できないため、余計な作業時間が必要となり、開発コストが著しく増加します。さらに、LLM(ChatGPTなど)を活用したコード生成は最新バージョンを前提としているため、旧バージョンに留まると将来的な競争力が著しく失われることになります。つまり、Delphiのバージョンアップを怠ることは、技術的負債を抱え込むことと同じであると言及しています。
本ブログでは、Dion Mai氏のウェビナーで解説された課題とその解決方法をポイントに絞ってまとめました。
Table of Contents
Delphi 7を使い続けることで生じるリスクと課題
- 旧バージョンの利用による生産性の大幅な低下
- Delphi 7など旧バージョンを使い続けることで、新しいIDE機能が活用できず、フォーム設計やコンポーネントの配置、コード編集の効率が大幅に低下する。
- 具体的には、同じフォームをDelphi 11で作成した場合と比べて、Delphi 7は最初の計測だけでも25%遅く、画像の追加やフォーマット変換作業を含めると、実質2倍以上の時間を要している。
- 最新フォーマットの非対応による余計な作業発生
- Delphi 7では標準でJPGやPNGを扱えないため、毎回BMP形式への画像変換が必要となり、これだけで開発工数が著しく増加する。
- プロジェクトが大規模になるほど、この画像処理にかかるコストは増大し、生産性低下につながる。
- 言語仕様の古さによるコード生産性・保守性の問題
- ジェネリクス、匿名メソッド、インライン変数、名前空間といった現代的な言語機能がないため、コードが冗長で煩雑になりやすく、再利用性やメンテナンス性が極めて低い。
- 例えば、ジェネリクスがないために型安全性を担保した汎用クラスが作れず、毎回類似コードを書いたり、無駄なキャストや条件分岐を行ったりする必要があり、バグのリスクが増加する。
- ネイティブでの最新機能の不足と外部ライブラリへの依存増加
- Delphi 7ではJSON処理、HTTPS通信、4GB以上のファイルに対応したZIP処理、並列プログラミングなど現代のソフトウェア開発に不可欠な機能がネイティブに搭載されていない。
- これらの機能を実現するために毎回外部のサードパーティ製ライブラリを探し、評価、導入、統合するという非生産的な作業を強いられ、ライブラリのバージョン管理や互換性維持の負担も増える。
- 旧バージョン利用による将来的なリスクと負担
- 古いDelphi環境を使い続けることによって、最新OSやセキュリティアップデートに対応しづらくなり、最終的には動作保証が難しくなる。
- Windowsのバージョンが進むごとに、古い開発環境に基づくアプリケーションは互換性が低下し、顧客やエンドユーザーへのサービス提供において致命的な障害が生じるリスクが高まる。
- AI(LLM)活用における制約
- LLM(ChatGPTなど)は現在主に最新のコード規約や言語仕様をベースに学習・生成されるため、古いDelphi 7環境に対応したコード生成が非常に難しい。
- Delphi 7での開発を続ける限り、AIが生産性向上のツールとして活用できず、競合他社や最新環境を導入している開発チームと比較して競争力を失う。
- 古い開発環境が引き起こす人材獲得の課題
- 古い技術(Delphi 7など)を使い続けると、新しい技術を使いたい優秀なエンジニアが入社したがらなくなり、若い人材が集まりにくくなります。また、ベテラン社員が辞めたときに技術の引き継ぎがうまくいかず、サービスの品質低下や維持が難しくなるリスクがあります。
Delphiの最新バージョンへの移行で得られる改善点
- 最新のDelphiの言語仕様やライブラリを享受
- Delphi 11以降のバージョンでは、ジェネリクス、匿名メソッド、インライン変数、Unicode対応、ネイティブJSONシリアライゼーション、RTTI、アトリビュート、名前空間などの先進的な機能が標準搭載されています。これにより、旧バージョンでは困難または煩雑だった機能実装が大幅に簡略化され、生産性向上に直結します。特にジェネリクスを活用することで型安全性を確保しつつコードの再利用性を高めることができ、匿名メソッドを使うことで柔軟でメンテナンス性に優れたコードが書けます。また、新バージョンではIDEレベルで画像形式のネイティブサポート(PNG/JPG)やJSONシリアライズ、HTTP通信などを標準搭載しているため、外部ライブラリ依存を軽減し、保守・運用負担を大幅に軽減できます。
- Delphi 11以降のバージョンでは、ジェネリクス、匿名メソッド、インライン変数、Unicode対応、ネイティブJSONシリアライゼーション、RTTI、アトリビュート、名前空間などの先進的な機能が標準搭載されています。これにより、旧バージョンでは困難または煩雑だった機能実装が大幅に簡略化され、生産性向上に直結します。特にジェネリクスを活用することで型安全性を確保しつつコードの再利用性を高めることができ、匿名メソッドを使うことで柔軟でメンテナンス性に優れたコードが書けます。また、新バージョンではIDEレベルで画像形式のネイティブサポート(PNG/JPG)やJSONシリアライズ、HTTP通信などを標準搭載しているため、外部ライブラリ依存を軽減し、保守・運用負担を大幅に軽減できます。
- IDEの機能をフル活用
- 新しいDelphi IDEには、生産性を劇的に高める機能が豊富に揃っています。特にクィック編集(Quick Edit)やクイックデータソース(Quick DataSource)は、コンポーネント間のデータバインディングを大幅に簡略化します。また、IDEの検索機能(Ctrl + “.”)やオブジェクトインスペクタの検索・フィルタ機能を活用することで、開発者が目的の設定やコンポーネントを即座に見つけ出し、日常の開発プロセスを高速化できます。コード編集においても「同期編集(Sync Edit)」や「リファクタリング機能」を活用し、変数やメソッドの名前変更、共通処理の効率的な管理が可能になり、コード品質の維持と開発速度向上を同時に実現します。
- 新しいDelphi IDEには、生産性を劇的に高める機能が豊富に揃っています。特にクィック編集(Quick Edit)やクイックデータソース(Quick DataSource)は、コンポーネント間のデータバインディングを大幅に簡略化します。また、IDEの検索機能(Ctrl + “.”)やオブジェクトインスペクタの検索・フィルタ機能を活用することで、開発者が目的の設定やコンポーネントを即座に見つけ出し、日常の開発プロセスを高速化できます。コード編集においても「同期編集(Sync Edit)」や「リファクタリング機能」を活用し、変数やメソッドの名前変更、共通処理の効率的な管理が可能になり、コード品質の維持と開発速度向上を同時に実現します。
- 標準搭載のネイティブクラスを導入
- 最新のDelphiには、JSON操作、HTTPS通信、4GB以上のファイル圧縮(Zip)、エンコード(Hashなど)、TParallelなどの並列プログラミング処理といった機能がネイティブクラスとして含まれています。これらを導入することで、サードパーティ製コンポーネントへの依存度を減らし、ライブラリ管理や依存関係の解消、ライセンス料や管理コストなどを削減できます。特にJSONやHTTPSをネイティブで扱えることで、WebアプリケーションやAPI連携が迅速に行え、今後のシステム拡張やモダンなサービス連携が容易になります。
- 最新のDelphiには、JSON操作、HTTPS通信、4GB以上のファイル圧縮(Zip)、エンコード(Hashなど)、TParallelなどの並列プログラミング処理といった機能がネイティブクラスとして含まれています。これらを導入することで、サードパーティ製コンポーネントへの依存度を減らし、ライブラリ管理や依存関係の解消、ライセンス料や管理コストなどを削減できます。特にJSONやHTTPSをネイティブで扱えることで、WebアプリケーションやAPI連携が迅速に行え、今後のシステム拡張やモダンなサービス連携が容易になります。
- 言語仕様の進化を取り入れる
- Delphiの新機能であるインライン変数、クラスオプティマイザ、アトリビュート、名前空間、レコード機能の拡張などを積極的に取り入れることが推奨されます。特にインライン変数を使うことで、コードがより明確かつ簡潔になり、可読性や保守性が向上します。また名前空間を利用してコードを整理すれば、大規模プロジェクトのメンテナンス性や他チームとの協力開発がスムーズになります。新しいRTTIを利用すれば、実行時の型情報取得がより直感的で安全になり、シリアライゼーションやオブジェクト操作を柔軟に行えるようになります。
- Delphiの新機能であるインライン変数、クラスオプティマイザ、アトリビュート、名前空間、レコード機能の拡張などを積極的に取り入れることが推奨されます。特にインライン変数を使うことで、コードがより明確かつ簡潔になり、可読性や保守性が向上します。また名前空間を利用してコードを整理すれば、大規模プロジェクトのメンテナンス性や他チームとの協力開発がスムーズになります。新しいRTTIを利用すれば、実行時の型情報取得がより直感的で安全になり、シリアライゼーションやオブジェクト操作を柔軟に行えるようになります。
- Unicode対応による国際化対応の向上
- 新しいDelphiではUnicodeが完全サポートされており、多言語対応や国際化が容易になります。グローバル市場への展開を考える上で、この機能は必須です。
- 新しいDelphiではUnicodeが完全サポートされており、多言語対応や国際化が容易になります。グローバル市場への展開を考える上で、この機能は必須です。
- AI時代に適した開発プロセスへの移行
- LLM(ChatGPTなど)は最新の言語仕様に最適化したコードを生成するため、古いDelphiでは活用が困難です。Delphiを最新化することで、AIによるコード生成やリファクタリングなどの支援を最大限活用できます。
- LLM(ChatGPTなど)は最新の言語仕様に最適化したコードを生成するため、古いDelphiでは活用が困難です。Delphiを最新化することで、AIによるコード生成やリファクタリングなどの支援を最大限活用できます。
まとめ
以上の解決策を踏まえると、Delphi 7を使い続けることで、古い技術による問題が増えます。最新のDelphiにアップグレードすることで、開発の効率やメンテナンスがずっと楽になり、結果としてコストも大きく下げることができます。
「昔の Delphi は良かった」という感情は理解できますが、実際の開発では 生産性が最も重要 です。
Delphi 7 を 懐かしむのは良いが、実際の開発で使い続けるべきではない というのがこのウェビナーの結論です。
Delphi 30周年記念キャンペーン(2025年3月14日まで)
2025年2月で、Delphiは30周年を迎えました。これを記念して、2025年3月14日までEショップ限定で、Delphi、C++Builder、RAD Studioを特別価格で提供する「Delphi 30周年記念キャンペーン」を実施します。
対象製品は、RAD Studio / Delphi / C++Builder 12 AthensのProfessional、Enterprise、Architectの各エディションです(アカデミックならびにネットワークライセンスは対象外です)。
詳しくは、こちらをご参照ください。