大変残念なお知らせですが、並外れた才能を持った開発者Eugene Kryukov氏の突然の訃報を受けました。
Eugeneは、Delphiコミュニティの中でも幅広く知られ、尊敬を集めてきた人物です。開発者がコーディングに携わったその生涯で成し遂げた業績を列挙することは、それほど難しいことではありません。しかし、Eugeneは非常に多作で、常に高いレベルで革新性、創造性、技術的専門性を発揮し続けてきたため、その並外れた才能に恵まれた完璧な生涯を正当に評価することは極めて困難でしょう。
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Eugene Kryukov氏の業績が広げた可能性
もし、FireMonkey(FMX)を使用したことがある方であれば、皆さんはEugeneの才能の一端をコードで触れたことになるでしょう。LinuxマシンでDelphi GUIアプリケーションをスムーズに動作させたことがあれば、それは彼のFMXLinuxコンポーネントの恩恵を享受しているのです。VCLアプリケーション(Windows 専用のソリューション)をLinuxでも問題なく実行可能にする、実に巧妙なソリューション「CrossVCL」も、Eugeneの功績です。彼は、あらゆることを可能にしたのです。
Eugene Kryukovと親友のAlexey Shargin(エンバカデロチームのスナップショットより)
Eugeneは、VGSceneと呼ばれる製品を開発し、これはのちにエンバカデロによって買収されています。VGSceneは、Eugeneの指揮下で「FireMonkey」と改名され、拡張を続けました。EugeneはFireMonkey 3Dを含むFireMonkeyの開発を継続し、その後も成功を収めていきます。
David Millington氏は次のように語っています。「Eugeneは非常に才能のある開発者でした。彼はコンピュータシステムの最先端についての慧眼があり、クロスプラットフォームとそれに対する複数の異なるソリューションにフォーカスし、それをDelphiにもたらしてくれました。1つだけでも満足する人が多いでしょうし、それだけでも十分な功績なのですが、彼の場合、VGScene/FMX、TurboCocoa、CrossVCLと、実に3つも構築したのです。」
Eugeneはまさに「開発者」の化身
多くの人は、「すごいことを成し遂げた」というだけで十分だと思いますが、Eugeneはその枠に収まるような人ではありません。彼は、人気の音楽制作アプリケーションFL Studioにも積極的に取り組みました。FL Studioは、美しくデザインされた競合他社を凌駕する製品です。
FL Studio Webサイト
Yuriy Kotsarenko Eugene KrukovとDmitry Arefiev (イタリアのピアチェンツァで開催されたDelphi Dayにて)
しかし、こうした包括的な技術力と溢れ出す創造性にもかかわらず、Eugeneは地に足をつけ、友好的で、エンバカデロの内外を問わず、あらゆるレベルのプログラマーと会い、交友を深めてきました。Eugeneは開発者の道を突き進み、何千、何万もの人々が、これまで、そして今後も直接使い、依存してきた中核的な基礎技術を誕生させてきました。彼の影響は絶大です。その業績と影響は、目に見えて残り続け、その成果は今後何十年にも渡って使われ続けることでしょう。
同僚からのメッセージ
Eugeneの突然の訃報を聞いて、とても悲しい気持ちです。私がEugeneと初めて一緒に仕事をしたのは、2011年の夏、私がエンバカデロに入社したときでした。ちょうど、FireMonkeyとマルチプラットフォームサポートを搭載した最初のバージョン「XE2」をリリースしようとしていたときでした。それから間もなく、EugeneはAlexey Sharaginとともにスコッツバレーを訪れてきました。Eugeneは、何十年もの間、DelphiコミュニティとFireMonkeyの重要なコントリビューターとして活躍してくれました。彼は非常にポジティブで高いモチベーションを持った人物で、とても知的で、非常に複雑な技術的課題に対しても素晴らしい解決策を見つけ出すことができる人物でした。彼のコミュニティに対する貢献は、今後もずっと長く体感し続けられるでしょう。なぜなら、今日のマーケットには、彼が開発に関わった技術をベースとした無数のエンタープライズアプリケーションやコンシューマーアプリケーションが存在しているからです。
Sarina Dupont(エンバカデロ 開発ツール製品管理担当ディレクター)
2010年頃を思い出してみると、DelphiはUnicodeへの移行を終え、IDEが改善され、DelphiがmacOS向けにコンパイルできるようになるという噂が出始めていました。そして、他にもエキサイティングなことが起こっていました。VGScene/DXScene というライブラリについて、耳にする機会が増えたのです。VGScene/DXScene は最新のライブラリで、GPUを活用し、すばらしい外観と印象的なコードが特長でした。当時Delphi ユーザーだった私は、VGSceneが買収されたと聞いてとても歓迎したものです。それ以来、Eugeneが関わってきたさまざまなプロジェクトをウォッチしてきました。その中でも特にTurboCocoaを推しています。
David Millington(エンバカデロ シニアプロダクトマネージャー)
いつかは別れは来る運命だが、それはいつも早すぎる…
エンバカデロのメンバー全員が、Eugeneと、彼の短い人生で成し遂げたすべての偉業に心から感謝の意を捧げたいと思います。オリジナルの英文投稿では、皆さんの弔文を受け付けています。
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