いよいよ Delphi/C++Builder/RAD Studio 11.2のリリースが間近となっておりますが、以前 11.2の新機能の1つとして「iOS Simulator for Delphi」を別のブログで紹介いたしました。このブログでは、11.2 に関する続報をお届けいたします。
11.2 は品質向上を重点に置いたリリースです。つまり、既存の機能がスムーズに動作するように多くの改善が行われています。例えば、高DPI VCL設計は、改善に重点を当てた分野の一つです。ただ今回のリリースでは、品質向上を目的としたいくつかの新機能も追加する予定であり、それは既存の機能を解決するための新たな取り組みになっています。
そこで、11.2のリリースに先駆けて、品質向上を目的として誕生した機能の紹介に加えて、品質問題に取り組みながら、お客様からの要望の多い機能を追加していく道筋についても少し紹介したいと思います。
品質への推進力: エンバカデロでは、RAD Studioのこれ迄のリリースの間に、IDEの内部に組み込まれていた Internet Explorer の機能をすべて削除することを目標にしてきました。 (理由については、下記で詳しく説明します。)
機能の原動力: HelpInsightでXSLTをサポートする機能を復活させました。(RAD Studioのあるバージョンから一時的にXSLTのサポートを止めていたことに気づかなかった方いるかもしれませんが、表示がカスタマイズできるように機能を戻しました)…そしてMarkdownのサポートを追加しました。
Internet Explorerからの脱却
Internet Explorerは、マイクロソフト社からも既にサポートが終了しているレガシーな機能です。これまでのRAD StudioのIDEでは、Internet Explorerを内部に統合(メッセージ処理の要件など)していたことが原因で、過去に様々な課題を抱えていました。
Internet Explorerは、コードエディタでシンボルの箇所へマウスオーバーすると表示されるXmlDocのコードドキュメントを変換したHelpInsightにも使用されました。XmlDocは、XMLソースから生成されたデータであり、XMLからHTMLへの変換が強力であるため、HTMLにとって非常に適していると言えます。
しかし、それを実現するのにInternet Explorerに特化する必要はありません。Internet Explorerを使用しなくても、別のレンダリングエンジンで表示されるデータを改善し、そのXSLT変換を再びカスタマイズできるようにすれば、開発時の生産性を高めることができます。
上記の画面ショットはHelp Insightで、組み込みのWeb ブラウザではなく、(以前はサポートしていた)ネイティブの Delphi HTMLコンポーネントライブラリを使用し、XSLT を介して XmlDoc から変換された HTML としてレンダリングしています。
11.2では、既存の機能の問題を解決するため、以下のような課題に取り組んでいます。
- Internet Explorerからの脱却
- 優れた言語とフレームワークを持つDelphiのネイティブ実装技術への移行
RAD Studio 11.0 と 11.1 のウェルカムページで既に行っていますが、HTMLのウェルカムページ も非常に強力、かつ見栄えが良くカスタマイズ可能なネイティブ VCL のものに置き換え、11.2では、さらに同じアイデアを踏襲して、HelpInsight と HTML を改善し、IDEのプロジェクトのreadme全般を改善しました。
また11.2ではMarkdownをサポートする予定です。Markdownのreadmeを持つDelphi githubプロジェクトは何万もあります。そしてMarkdownは、もちろん HTMLでの使用を想定しています。これはDelphiのネイティブHTMLコンポーネントを使用した品質改善ならびにネイティブを重視した技術計画と、Markdownのサポートという機能計画が丁度重なり、エンバカデロでは、以前からこれを実現すべく準備を進めてきました。
なお、11.2は品質に重点を置いたリリースであるため、Markdownのサポートと改善された HelpInsight は、IDE および製品全体の多くの機能の1つにすぎません。詳しくは、「Delphi/C++Builder/RAD Studio 11.2 Alexandria ウェビナー」で、11.2の新機能のすべてをご覧いただけます。
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