RAD Studio 12.2では、C++Builderにコードをよりクリーンにし、ワークフローをより効率的にする強力なツールが搭載されました。特に注目すべき機能の1つは、Visual Assistの統合が強化され、「変数の導入」、「メソッドの抽出」、および「使用箇所からの作成」という3つの特に便利なリファクタリングツールが追加されたことです。
テスト駆動開発(TDD)環境で作業している方や、レガシーコードのリファクタリングというより困難な作業に取り組んでいる方にとって、これらの新機能はまさに新鮮な息吹となるでしょう。新しいテストを作成する場合でも、長年リファクタリングされずに放置されていた古いコードに取り組んでいる場合でも、これらのツールがどのように役立つのかを見ていきましょう。
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リファクタリングとTDD: 不可欠なつながり
テスト駆動開発(TDD)に精通している方であれば、レッド、グリーン、リファクタリングのサイクルををご存知でしょう。テスト (レッド) を記述し、テストに合格 (グリーン) してから、コードをリファクタリングして、機能性を維持しながら設計を改善しますTDD プロセスでリファクタリングを行うと、プロジェクトの拡大に合わせてコードが読みやすく、保守しやすい状態が維持されます。
しかし、リファクタリングは新しいコードだけに限ったことではありません。レガシーコードを扱ったことのある人なら、古くて複雑なコードベースの処理が困難な課題であることを知っています。レガシーコードをリファクタリングすることで、保守が容易になるだけでなく、新機能を追加する際にバグが発生するリスクも軽減されます。
TDDを実践している場合でも、レガシーコードをモダン化しようとしている場合でも、新しい Visual Assist 機能により、リファクタリングが遙かに簡単になり、より優れた、よりクリーンなコードの記述に集中できるようになります。
1. 変数の導入: コードの可読性向上
動作するコードであればもちろん良いですが、動作してさらに読みやすいコードであれば尚更良いことです。コード内の長い式や複雑な式を扱う場合、リファクタリングによって理解しやすくできます。Visual Assistの「変数の導入」機能を使用すると、このような複雑な式を、コードが実際に何を行っているかを説明する、より単純でわかりやすい名前の変数に分解することができます。
次の例を考えてみましょう。
ロジックは機能しますが、少しわかりにくいです。変数を導入することで、これを簡単にわかりやすいものに変換できます。
今やコードがすべてを物語っています。このようなリファクタリングは、プロジェクトの全期間にわたってクリーンなコードを維持するために非常に重要であり、特に複雑なビジネスロジックを扱う場合には不可欠です。レガシーコードの場合、この機能は、何年もかけて蓄積された、もはや意味をなさないインライン式やマジックナンバーを整理するのに役立ちます。
2. メソッド抽出: コードにふさわしい分離を
クリーンなコードの基本ルールの 1つは、関数を小さくし、焦点を絞ることです。1つのメソッドで多くの処理を実行したり、さらに悪いことに別のメソッド内にロジックがネストされている場合は、メソッドを分割する必要があります。 Visual Assistの「メソッドの抽出」機能を使用すると、コードブロックを選択し、適切な名前の新しい関数に即座に移動できます。
典型的なシナリオを紹介します。
メソッドの抽出を使用すると、これをより小さく管理しやすいパートに分割することができます。
これでコードは、より理解しやすく、テストしやすく、保守しやすくなりました。。この機能は、特に時間の経過とともに膨大な機能が蓄積されたレガシー システムでは画期的なものです。メソッドを抽出することで、管理しにくいモノリシック構造を、クリーンでモジュール化されたコンポーネントに変換することができます。
3. 使用箇所から作成: 開発ワークフローの高速化
TDDを実践しているとき、特定の関数や変数が存在すると仮定してテストやコードの一部を記述し、まだ作成していないことに気づくというシナリオがよくあります。Visual Assistの「使用箇所からの作成」機能を使用すると、フローを中断して戻って手動で定義する代わりに、関数、変数、さらにはクラスをその場で生成することができます。
以下は一例です。
updateInventory()が存在しない場合、Visual Assist によってすぐに作成されます。
これにより、プロジェクトを中断したり、プロジェクト内を移動したり、開発フローを中断したりする必要がなくなります。この機能は、段階的な改善を行い、全体像に集中できるため、大規模なレガシーコードベースをリファクタリングするときに特に役立ちます。
レガシーコードのリファクタリング:救世主となる
リファクタリングは、開発中のコードをクリーンに保つためだけのものではありません。長年続いているプロジェクトや、引き継いだものなど、レガシーなコードベースを扱う場合、長期的な保守性を確保するにはリファクタリングが不可欠です。
レガシーコードには、重厚長大な関数、不可解な変数名、複雑なロジックが1行に詰め込まれているなど、「コードの臭い」が蔓延していることがよくあります。変数の導入は、複雑な式を分解することで役立ちます。メソッドの抽出は、巨大な多目的関数のサイズを縮小するのに非常に有効です。また、古いシステムに新しい機能を追加する際には、使用箇所からの作成により、定型的な作業に時間を取られることなく、新しい機能の記述に集中することができます。
結論: TDDとレガシーコード、Visual Assistによるリファクタリング
TDD サイクルの途中でも、レガシーコードベースの整理中で も、リファクタリングは、保守しやすく読みやすいコードを実現するための重要なステップです。RAD Studioの新しいVisual Assist機能(「変数の導入」、「メソッドの抽出」、「使用箇所からの作成」)により、ワークフローを簡素化する強力なツールが提供されます。
Visual Assist は、リファクタリング プロセスの重要な部分を自動化することで、コードのアーキテクチャや構造に関するより高度な決定に集中できるようになります。コード変換の機械的な側面にかかる時間を減らし、ソフトウェアの品質向上に時間を費やすことができます。
したがって、次にリファクタリングの課題に直面した際には、それが新しいコードであれ、何年も前のコードであれ、Visual Assist in C++Builderを利用することによって、負担を軽減し、クリーンで保守しやすいコードへの道のりを少しでもスムーズにできるでしょう。