近年、ローコードアプリケーション開発のアプローチが広く企業に普及してきていますが、それには正当な理由があります。つまり、ソフトウェアの需要需要の増加と、相対して高まる開発の難しさです。開発スピードを高め、技術の複雑性を軽減するというローコードのアプローチにおいては、ビジュアルデザイナでコンポーネントを接続してソフトウェアを構築するRAD手法を導入したDelphiが、その先陣を切っていると言えます(ブログ記事「DelphiとRAD Studio – ローコード開発の原点」を参照)。
多くのローコードソリューションで重要なのは、拡張性です。ローコードソリューションの中には、拡張を行う際に従来のコーディング手法に基づくアプリケーションへと拡張できないものが多く、これらは機能面で著しい制限が存在すると言えます。もしあなたが技術アドバイザーであれば、顧客や企業を制限するようなことは勧めたくはないでしょう。ローコードを見据えた最適な開発ソリューションは、成長と拡張への道を提供できるものでなければなりません。Delphiは、こうした観点においても秀でています。
一方、これまでのバージョンのDelphiでは、常に、新規プロジェクトを作成し、フォームや画面を作成することから始めるという手順が必要でした。わずかなコードしか記述しない場合でも、複雑な機能を実装しようとする場合でも、そのアプローチに違いはありません。こうした煩雑性を解消する第一歩として、10.4.2向けに新しいアドオンを提供開始しました。
10.4.2でGetItパッケージマネージャーを通じて新たに提供開始した「ローコード アプリウィザード」は、クロスプラットフォームアプリケーションのためのテクノロジーであるFireMonkeyで利用できるアプリケーションを生成するウィザードです。このウィザードでは、一般的なサインアップ/サインインやホーム画面、プロファイルなどのページ、データアクセスなどの機能が実装されたフォームやモジュールを生成します。開発者は、空白のフォームから作業を開始するのではなく、すでに用意されたテンプレートを修正するだけで、すばやくアプリケーション機能を実装することができます。
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ローコード アプリウィザードの使い方
RAD Studio / Delphi 10.4.2でGetItパッケージマネージャーを開き、FireMonkey App Low Code Wizardを選択し、インストールします。
ローコードアプリ ウィザードのインストールが完了した後、Delphi IDEメニューの[ファイル]-[新規作成]-[その他]-[マルチデバイス]の項目からDelphi向けのFireMonkey アプリを作成するウィザードを実行できます。
このウィザードには、完全に機能するクロスプラットフォームのアプリケーションで、すべてのモバイルアプリケーションに必要な基本的な機能がすでに含まれており、そのまま実行して使用することができます。さらに、アプリケーション開発のベストプラクティスが示された非常にクリーンで拡張可能なデザインにより、少ないコードで画面を追加することができ、これにはカスタマイズ時に高品質なアプリを維持するためのテストコードのセットも含まれます。
ローコードアプリ ウィザードは、3つのステップで実行されます。
ステップ1:
アプリ名、プロジェクトを保存するパス、データベースの使用有無などを選択します。
ステップ2:
Delphiアプリの画面を選択します。 ステップ1でデータベースの利用を選択した場合は、Additoonalの項目に[Data]も追加されます。
作成するDelphiアプリの画面は、下図のように任意のセットを選択することができます。
選択できる任意のセットは、以下の通りです。
- ユーザー アカウント: サインアップ、サインイン、および独自の認証用のフックを備えたプロファイル画面
- アプリのテーマ(ライトまたはダーク)やタイムゾーンの変更など、いくつかの設定を行う画面
- 連絡先(アドレス帳)の画面
- 利用規約、会社概要、プライバシーポリシーなどの画面は、独自のデータ用に簡単にカスタマイズ可能
- データベースレイヤー:InterBaseを使用して、アプリにデータを保存
- 新しい機能を追加するためのテンプレートまたは例として使用可能な新しい画面例
ステップ3:
最後に作成するアプリの内容を確認します。
ウィザードが完了すると、プロジェクトが作成されます。(下図はその例)
ウィザードによって作成されたプロジェクトは、そのまますぐに実行できる便利なアプリケーションのフレームワークで、DelphiのRAD(またはローコード)のビジュアルアプリケーションデザインを使用してカスタマイズや拡張を施すことができます。
以下は、プロジェクトをビルドし、Windows上で実行されているローコードアプリの画面例です。
ローコードアプリウィザードは、既にGetItから入手可能です。今すぐローコードアプリウィザードをインストールして、ローコードアプローチによる迅速な開発と、高い拡張性と柔軟性をもたらすDelphiの能力を両立させ、ビジネスニーズにマッチする開発を実現してください。
補足情報
- ローコードアプリウィザードで作成されるアプリの画面で表示される文字列は、現時点では全て英語のみで、日本語を選択するオプションは用意されておりません。
- ウィザードのステップ1でデータベースの使用を選択した場合は、ローカルPCで実行されているInterBaseへ接続するため、事前にInterBaseサーバーを起動してください。
ローコードアプリウィザードに関する追加情報
エンバカデロでは、ローコードアプリウィザードに関する追加情報を随時提供していく予定です。まず第一弾として、6月10日にグローバルWebセミナーを実施します。このWebセミナーでは、ローコードウィザードのデモンストレーションを行い、Delphiで強力なアプリケーションを素早く構築する方法を紹介します。
開催概要
Delphi Low Code Wizard Webinar
- 日程:2021年6月10日 23:00(日本時間)
- 参加費:無料(事前登録制)
- 参加方法:こちらのページからご登録ください
※ Webセミナーの言語は英語です。
関連情報
- DelphiとRAD Studio – ローコード開発の原点
- エンバカデロ 藤井が学ぶローコード開発プラットフォームLANSA (Youtube)
- RAD、ローコード、ノーコードの違いを理解する ~ RAD. Low-Code. No-Code.What is the difference?(Youtube)