DelphiとElectronのライセンスは大きく異なります。実際、いくつかの点で、それらは正反対です。このブログ記事では、ベンチマーク調査によって考察した双方の類似点と相違点について解説します。
ホワイトペーパー「ベンチマークで検証!クロスプラットフォーム開発向けベストフレームワーク」では、マルチプラットフォーム デスクトップ アプリケーション開発向けの2つのフレームワークDelphi、Electronを評価しています。
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Delphi
Delphiは、RAD(Rapid Application Development)手法による開発をサポートするRAD Studio IDEにカプセル化されているエンバカデロ・テクノロジーズの主力製品です。Object Pascal言語の独自バージョンとして、Delphiは、コンポーネントの「ドラッグ&ドロップ」、大半のモバイルプラットフォームに対応するWYSIWYG ビューワ、ルック&フィールをフルカスタマイズ可能なプラットフォーム標準装備のユニークなIDEツールパレットを含む堅牢なスタイルオプションを搭載し、視覚的なアプリケーション開発を特徴とします。その他の特徴として、GUIコントロール、データベースアクセスマネジャ、ターゲットプラットフォームハードウェア/プラットフォームオペレーティングシステムへのダイレクトアクセスを提供するライブラリが含まれています。Delphi FireMonkey(FMX)フレームワークは、32-bitおよび64-bit Windows、macOS、Linux, Android、iOS、そしてLinux向けネイティブコードにコンパイル可能で、市場の大半に展開できる、単一コードベースの開発およびメンテナンスを可能にします。Delphiは 25年以上にわたり利用されています。
Electron
Electronはオープンソース(MITライセンス)のChromiumベースのフレームワークで、Web技術を利用してWindows、macOS、Linux向けデスクトップアプリケーションを構築します。Electronは、Microsoftの子会社であるGitHubが開発、保守しています。Electronは、ChromiumベースのレンダリングエンジンとNode.jsサーバー環境で構成されています。それ自体、ElectronアプリケーションのUIは、HTML5およびCSS経由で使用可能です。一般に、Electronは、Angular、Vue.js、Reactといった大半のJavaScriptフレームワークを使ってアプリケーションを開発します。Chromiumで見つかるHTML5、CSS、JavaScriptベースの技術は、Web開発者には馴染みのある、充実したユーザーカスタマイゼーションのエコシステムを提供します。誕生して5年という比較的若いコミュニティですが、データベースアクセス、オペレーティングシステムインタラクションやその他のタスク向けオープンソースパッケージが提供されています。
26のベンチマークメトリクス
このブログ記事は、DelphiとElectronに対して行われた26の定量評価とその結果の一部をピックアップしたシリーズの第7弾です。このシリーズの最初の記事は、こちらをご覧ください。
ベンチマークカテゴリ:ビジネス機能
ビジネス機能:フレームワークのビジネス機能は、定性的に調査し、技術への投資から開発製品の長期的メンテナンスまでのビジネスユースを分析しました。ビジネス機能は、フレームワークの事業適合性と長期計画への影響を意味します。卓越した機能の採用により、企業は容易にカスタムツールや拡張機能を構築し、自ら選択したプラットフォーム上で開発を進め、自社独自のソースコードを不正利用から保護し、開発したアプリケーションが数十年のスパンでメンテナンス可能であると確信することができます。
ベンチマーク メトリクス 7/26: ライセンス
ライセンス:ライセンスに基づき、商用アプリケーションの開発は可能か、その場合のコストは? 使用許諾条件は理解しにくいか? 独自のフレームワークおよびツールを使用する場合、ライセンス料の支払は一括または継続定期払い方式か、希望する商用アプリケーションの種類に応じて各種ライセンスが用意されているか? オープンソースフレームワークにはライセンスごとに制限が設けられている場合があります。
ベンチマーク結果
Delphiスコア:3(5点満点)
Delphiは、3種類の有償版と無料のCommunity Edition、そしてアカデミックプログラムが用意された独自のソフトウェア製品です。無料版は、年間収益が5,000米ドルを超えないという制限のもと使用できます。本書執筆時点で、完全な商用利用が可能なエントリーエディションのライセンスの価格は1,599米ドルで、フル機能を利用できるエディションの価格は5,999米ドルです。年間サブスクリプションは、アップデートや新バージョンを入手するために必要で、次年度以降は、初年度の価格のおよそ3分の1で更新できます。
Electronスコア:5(5点満点)
Electronは、無料のオープンソース(MITライセンス)フレームワークであり、ライセンス費用を払うことなく完全に商用目的で利用することができます。IDEとの連携はありませんが、Visual Studioで開発することができ、IDEツールとサードパーティのエコシステムを活用できます。