2017年9月より販売を開始した Enterprise Connectors ですが、これを利用すると多彩なアプリケーションデータへ FireDAC からアクセスできるようになります。
このデータアクセスですが、単にエンタープライズデータを参照したり、データを追加更新することもできるわけですが、それはあくまで Enterprise Connectors の基本機能にすぎません。では、Enterprise Connectors のデータ連携の例を幾つか紹介してみましょう。
Table of Contents
データ連携の例
CRM の活動予定やToDoの情報をグループウェアのカレンダーに連携させる
日常的な営業活動の支援ツールとして CRM や SFA が用いられることは普通になっていますが、これらのツールに登録した情報を見ることはできても、実際のスケジュール管理には別のツールやグループウェアを使っていることも多いと思います。
そのような場合に CRM に登録した活動予定やToDoの情報は結果的に手作業でグループウェアに転記せざるを得ないかもしれません。これは単なるコピペの作業であり、何かを生み出す作業ではありません。
しかし、CRM の情報とグループウェアの情報を連携させることができれば、コピペのような後ろ向きの作業から開放されます。
Enterprise Connectors は Salesforce や SugarCRM などの CRM と連携出来るコンポーネントに加えて、Office365 や Google Calendar と連携可能なコンポーネントがありますので、これらを組み合わせることで情報の連携が行えるのです。
さまざまなサービスに蓄積されたデータを合成して集計分析したい
企業活動で発生するデータは CRM, マーケティングツール、ERP、会計システムなどのツールが、それぞれが必要とする範囲の情報を保持しています。
このときにそれらのシステム間では、RDBMSでいうところの主キーや外部キーに相当する情報を持ち合わせていますが、独立したシステム間のデータをマージするには、それぞれのシステムが対応する出力フォーマットのデータを整形加工した上で行う必要がありました。特にこのような作業のための作業場所としてデータベースを使う場合は、各システムの出力データをデータベースが取り込める形式に変換しなければなりません。
Enterprise Connectors を利用する場合でもこのような操作が大幅に軽減できるとは申しません。しかし各データソースから取得したデータは FireDAC の内部形式となっていますから、これを別のデータベースに保管するのは造作もないことです。あとはデータ量に合わせてオンメモリデータベース、ローカルDB、リモートDBの中からデータベースを選ぶだけです。そして保存データを操作するクエリを容易すれば合成データが得られます。この操作は SQL だけでデータ処理のロジックを記述できるのですから、データベースエンジニアにとっては取るに足らない作業です。
kintone で作成した業務アプリのデータを他のシステムで再利用する
kintone は定型的なワークフローを Web アプリとして作成でき、さらにデータ保管の領域も付帯するクラウドサービスですが、お手頃な料金で始められるのにパワフルに使えることから人気があるサービスの一つです。
Enterprise Connectors では残念ながら kintone 向けのドライバは現時点(2017年8月) 時点ではリリースしておりませんが、リリースは予定しています。Enterprise Connectors で kintone が利用できるようになれば、kintone で作成したデータを CRM、ERP、経理会計システム等と連携するアプリが作れるようになります。