見栄えのよい、直感的かつ機能的なユーザーインターフェイスの構築に、開発者がどのぐらいの労力をかけているか。それは、開発者が使用するIDEやフレームワークが、WYSIWYG(What You See is What You Get)アプローチをサポートしているか、すぐに使えるビジュアルコンポーネントがあるか、ライブラリやツール、ローコードアプローチなどのサポートにより、どの程度開発プロセスを簡素化できるかに依存しています。
企業がソフトウェアフレームワークを選択するとき、アプリケーションのライフサイクル期間にわたって、長期的な関係をコミットすることになります。この決定の戦略的結果を考えれば、企業は、フレームワークの開発生産性、ビジネス機能、アプリケーションの柔軟性、製品のパフォーマンス、そのフレームワークの長期的存続性、そして各フレームワークの設計と技術に内在するセキュリティについて、慎重に検討しなければなりません。理想的なフレームワークとは、各カテゴリにおいてその強みを発揮し、製品の市場投入までの時間の最短化、メンテナンスコストの削減、製品の多様性の最大化、優れたユーザーエクスペリエンスの提供を実現するものです。
ホワイトペーパー「ベンチマークで検証!クロスプラットフォーム開発向けベストフレームワーク」では、マルチプラットフォーム デスクトップ アプリケーション開発向けの2つのフレームワークDelphi、Electronを評価しています。このブログ記事では、DelphiとElectronに対して行われた26の定量評価とその結果の一部をピックアップしています。
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ベンチマークカテゴリ:開発者の生産性
開発生産性とは、典型的な開発タスクの完了までに要する工数とコードを測る尺度です。生産性は製品の市場投入までの時間と長期的な人件費に直接影響するため、開発生産性を向上するツールはタイムリーなビジネス展開と最終収益に大きな影響を与えます。生産性の向上は、ネイティブ ライブラリによるコーディング要件の軽減、およびコード補完やビジュアル設計のようなIDEツールの活用という、明確に異なる2通りの方法で実現可能です。広範なライブラリを備えたIDEは、一般的にアプリケーションあたりのコードの行数が少なくて済み、バグや製品ライフサイクル後半のメンテナンス問題の発生を最小限に抑える、クリーンで軽量なコードベースを生成します。
ベンチマーク メトリクス 2/26: UI設計のアプローチ
UI設計のアプローチ:フレームワークのIDEはグラフィカル/ビジュアルUIの構築を可能にし、WYSIWYG(What-You-See-Is-What-You-Get)表示モデルを提供するか? 「ドラッグ&ドロップ」コンポーネントやその他のビジュアル操作により開発を支援するIDEは、ユーザーが作業しながら様々な思考方法や創造性を探究することを助けます。WYSIWYGデザインエディタの使用により、物理的ハードウェアのバージョンごとにプラットフォームネイティブのスタイリングを表示させる必要がなくなります。
ベンチマーク結果
Delphiスコア:5(5点満点)
DelphiのRAD Studio IDEでは、GUI設計に、コンポーネントのドラッグ&ドロップによるWYSIWYG(What-You-See-Is-What-You-Get)設計エディタを使用できます。設計したGUIは、ネイティブのAndroid / iOS / Windows / macOSスタイル、あるいはカスタムスタイルを用いて表示できるほか、さまざまな画面サイズのモバイルデバイスをシミュレートして表示できます。コンポーネントの大きさの変更や各種プロパティの変更は、オブジェクトインスペクタを用いて行え、コードを記述する必要がありません。そのため、ビジュアル開発ですばやくプロトタイピングを行うことができます。Delphiでは、開発者が単純なYAMLスタイルの言語定義を用いてUIを編集する機能も用意されています。
Electronスコア:3(5点満点)
ElectronにはネイティブIDEはありませんが、テキストエディタとコマンドラインツールを用いて開発を行うことができます。Electronには、標準でWYSIWYG設計機能もドラッグ&ドロップコンポーネントも用意されていません。UIは、HTML5とCSSスタイルを用いて作成できます。Visual StudioなどのIDEを用いない限り、ElectronアプリケーションのGUIを表示するには、コンパイルして実行するしかありません。