ベンチマークで検証！DelphiとElectronの開発時間

開発時間は、プロジェクト開始前から重要な指標となるソフトウェア開発における重要な要素のひとつです。開発時間は、使用するツールや開発者の生産性に依存しており、単に市場投入までの時間だけでなく、全体のコスト、アップデートの提供タイミング、メンテナンスコストなどに大きな影響を与えます。

企業がソフトウェアフレームワークを選択するとき、アプリケーションのライフサイクル期間にわたって、長期的な関係をコミットすることになります。この決定の戦略的結果を考えれば、企業は、フレームワークの開発生産性、ビジネス機能、アプリケーションの柔軟性、製品のパフォーマンス、そのフレームワークの長期的存続性、そして各フレームワークの設計と技術に内在するセキュリティについて、慎重に検討しなければなりません。理想的なフレームワークとは、各カテゴリにおいてその強みを発揮し、製品の市場投入までの時間の最短化、メンテナンスコストの削減、製品の多様性の最大化、優れたユーザーエクスペリエンスの提供を実現するものです。

ホワイトペーパー「ベンチマークで検証！クロスプラットフォーム開発向けベストフレームワーク」では、マルチプラットフォーム デスクトップ アプリケーション開発向けの2つのフレームワークDelphi、Electronを評価しています。このブログ記事では、DelphiとElectronに対して行われた26の定量評価とその結果の一部をピックアップしています。

ベンチマークカテゴリ：開発者の生産性

開発生産性とは、典型的な開発タスクの完了までに要する工数とコードを測る尺度です。生産性は製品の市場投入までの時間と長期的な人件費に直接影響するため、開発生産性を向上するツールはタイムリーなビジネス展開と最終収益に大きな影響を与えます。生産性の向上は、ネイティブ ライブラリによるコーディング要件の軽減、およびコード補完やビジュアル設計のようなIDEツールの活用という、明確に異なる2通りの方法で実現可能です。広範なライブラリを備えたIDEは、一般的にアプリケーションあたりのコードの行数が少なくて済み、バグや製品ライフサイクル後半のメンテナンス問題の発生を最小限に抑える、クリーンで軽量なコードベースを生成します。

ベンチマーク メトリクス 1/26：開発時間

開発時間：完全に機能するアプリケーションをゼロから作成するために要した合計時間。この尺度は、タスクに関する予備的知識をもたない、一般的な開発者にとってフレームワークの生産性ツールがもたらす付加価値を測定します。包括的なドキュメンテーション、豊富なネイティブライブラリ、コード補完、その他のIDEツールによって、開発者は、「標準」テキストエディタを使用する場合よりも効率的にベンチマークアプリケーションを設計、構築できるでしょう。

ベンチマーク結果

Delphiスコア：3（5点満点）

1人の熟練のDelphi開発者がRAD Studio IDEを使用してUnicode Readerを作成したところ、23.3時間で完成させることができました。内部テストに基づくアプリケーションの修正に8.33時間を要し、開発時間は合計31.63時間となりました。修正前の元のアプリケーションについて、他のDelphi開発者5人の推定値は、24～50時間の範囲で、平均値は38.8時間でした。

Electronスコア：5（5点満点）

1人の熟練のElectron開発者は、Unicode ReaderのGUIにAngularを、データベースインタラクションにNode.jsモジュールのコレクションであるnode-postgres使用することで、20時間で完成させることができました。内部テストに基づくアプリケーションの修正に47.8時間を要し、その内訳は、テストのコーディングに28.6時間、受入基準を満たすまで3プラットフォームで発生した問題のトラブルシューティングに19.2時間、開発時間は合計67.8時間となりました。他のElectron開発者3人の推定値は、80～120時間の範囲で、平均値は100時間でした。