アートとテクノロジーは、洞窟壁画からルネサンスのフレスコ画まで、長い歴史の中で不可逆的に絡み合ってきました。そして現在では、テクノロジーの進歩と古来からのアートの伝統が融合し、芸術的創作の領域においても新しい手法が生まれています。それは例えば、3Dプリントから、Stable Diffusion、Midjourney、Dall-EなどのAIベースのアプローチに至るまで広範です。しかし、ChatGPTはどうでしょうか。それは本当に、芸術的な創作活動に使用できるのでしょうか?
この記事では、「Delphiファンアートコンテスト」に関連し、ChatGPTとその技術をDelphiで用いる手法を紹介します。コンテストに投稿されたファンアートは、Delphi Redditでご覧いただけます。
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ChatGPTとは
ChatGPTは、GPT-3ナレッジベースを活用した新しいチャットボットです。チャットボットは、質問に答えたり、さまざまなトピックについての有益なアドバイスを提供します。ChatGPTは、自然言語処理(NLP)テクノロジーを用いて、文章や会話を理解し、有意義な方法でユーザーと対話できるようにします。このチャットボットは、インテリジェント チャットボット インターフェイスを介して関連情報を提供することで、人間の会話をシミュレートするように設計されています。ChatGPTは、情報要求などのアクションを認識して応答します。これには、コード(Delphiコードを含む)を記述して応答することも含まれており、SVGなどのさまざまなグラフィックファイルフォーマットにも対応しています。
SVG形式とは
SVGは、強力で多用途のコンピューターグラフィックスフォーマットです。SVGはScalable Vector Graphicsの略で、2次元のベクターグラフィックスの作成に使用されるファイル形式です。SVG ファイルは単純なXMLで構成されており、その内容と詳細レベルに応じてサイズが変動します。SVGファイルは最大で1,600万色を表示でき、デバイスやプラットフォームを問わず鮮明なエッジで完全にスケーリングされるため、洗練されたレスポンシブなビジュアルを作成するための理想的な選択肢となっています。SVGは、アニメーション、マスキング、クリッピングなどの独自の機能も提供しています。これらの機能は、他の形式では実現が困難であったり不可能な機能です。SVGの幅広い機能と柔軟性を見れば、一部のアーティストや開発者が、他のコンピューターグラフィックスフォーマットよりもSVGを好んでいるのは納得できるでしょう。
DelphiからChatGPTにアクセスするには
Delphi は、Android、iOS、macOS、Windows、Linux 向けの強力なクロスプラットフォーム開発ソリューションです。すでに、APIを介してChatGPTと対話できるように構築された、さまざまなDelphiクライアントアプリケーションが数多く存在します。いずれもOpen AI APIキーが必要で、シンプルなものから堅牢なものまでさまざまです。
DelphiChatGPT.pas
最初の例は、tinyBigGAMESのJarrod Davis氏によるDelphiChatGPT.pas です。GitHubでソースコードにアクセスでき、1つのファイルにすべてが含まれているシンプルなものです。
Delphi Chat GPTプロジェクト
2番目のプロジェクトは、ICS(Internet Component Suite)for Delphiの開発者であるFrançois PIETTE氏によって作成されたサンプルプロジェクトです。VCL とICSを使用してOpen AI API に接続するデモプロジェクトです。こちらも、GitHubからアクセスできます。
Delphi Open AI + ChatGPT + DALL-E
最後のプロジェクトは、最も広範にOpen AIとDelphiを統合した例で、開発者のHemulGM氏によって作成されました。3つの個別のプロジェクトがあります。1つ目は、OpenAIのModels、Completions、Edits、Images、Embeddings、Files、Fine-tunes、Moderations、Engines(非推奨)をサポートするDelphi OpenAI APIです。他の2つのプロジェクトは、ChatGPTおよびDALL-E用の Delphi FireMonkeyクライアントで、Webのチャットボットと同様のチャットインターフェイスを備えたアプリケーションです。
https://github.com/HemulGM/DelphiOpenAI
https://github.com/HemulGM/ChatGPT
https://github.com/HemulGM/DALL-E
ChatGPTを使ってアートワークを作成するには
ChatGPTはSVGファイルの生成が可能です。必要としているグラフィック要素を含むファイルを作成するように依頼すると、ファイルが書き出されます。例えば、YouTubeのサムネイルサイズの画像が必要なときは、「白い背景に赤いスパルタンヘルメットを付けたYouTubeサムネイルのSVGファイルを書き出す」などと、ChatGPTに問い合わせると、次のような応答があります。
[crayon-673febc97e64c089577974/]このときは、正しいSVG形式が得られはしましたが、その結果は完全ではありませんでした。要求したのは、(Delphiロゴのような)スパルタンヘルメットだったのですが、そう簡単ではなかったようです。これは、読者の皆さんが、ChatGPTを使用してこの分野をさらに探索するための演習として残しておきましょう。
ChatGPTでアスキーアートを作成
ASCIIアートは、特定の文字セットのASCII文字を用いて作成されたデジタルアートワークの形式です。その構成要素が共通かつシンプルであるため、オンラインアートとして人気があります。ASCIIアートの作品は、オンラインプラットフォーム間で簡単に共有できます。ASCIIアートは1960年代から存在していましたが、ソフトウェアの進歩に伴い、ASCIIアーティストはさまざまなフォントや色、形を使用して創作ができるようになっており、近年さらに創造的かつ複雑化しています。そのレトロでありながらモダンな魅力は、ツイート、電子メール、Webサイトのランディングページ、そしてもちろんネット上のアートギャラリーなどでも見ることができます。
ChatGPTに猫のASCIIアートを作成してもらいましょう。
この画面ショットを見ると分かるように、ChatGPTはいくつかの単純なASCIIアートの作成では、かなりうまく機能していました。しかし、ギリシャ風の柱やスパルタンヘルメットを、ASCIIアートで作成しようという試みは、うまくいきませんでした。
「Delphiデジタルファンアートコンテスト」のコレクション: 開発者とFireMonkeyたち
さて、Delphiファンアートコンテストは順調に進んでおり、Delphiコミュニティからは素晴らしい作品のラインナップが寄せられています。複雑な風景から精巧な抽象的な作品に至るまで、Delphiユーザーの皆さんの才能と想像力には驚かされます。これまでに参加されたすべての方は、それぞれのユニークな作品に費やした努力を称えたいと思います。応募には、まだ十分な時間が残されていますので、まだ参加されていないDelphiファンの方は、ぜひご参加ください。すばらしい芸術性にあふれた作品によって、Delphi 28周年をお祝いしましょう。
「Delphiデジタルファンアートコンテスト」への応募をお待ちしています
ChatGPTは、人工知能とOpenAIを使用してアート作成の可能性を示すエキサイティング手法提供しています。そして、その機能には、APIを介してDelphi アプリからもアクセスすることができます。この記事では、DelphiからOpen AIにアクセスし、ChatGPTを使用する方法について、簡単な手順をいくつか紹介しました。単に、すばらしいアートを作成するだけでなく、その作品を、Delphiファンアートコンテストに投稿する機会もあることをお忘れなく。他のクリエイターによって提出されたエントリをご覧いただき、さまざまなアイデアを検討してください。Delphiファンアートコンテストで、ぜひ皆さんのスキルと芸術性を披露してください。お待ちしています。