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RAD Studio 12.3 Athens提供開始のお知らせ

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Embarcadero は、RAD Studio 12.3 Athens が Delphi 12.3 および C++Builder 12.3 とともに本日からお客様にご利用いただけることをお知らせいたします。RAD Studio 12.3 Athens リリースは、RAD Studio IDE の 64 ビット バージョンの初期リリースの提供、多数の既存機能の強化、重点的な品質への取り組みが盛り込まれています。

このブログ投稿では、このリリースの主な強化点を取り上げ、詳細情報へのリンクを提供します。

Win64 用の新しい C++ Builder コンパイラの機能強化

RAD Studio 12.1でWin64向けの新しいClangベースC++コンパイラをリリースし、12.2で大幅な改善(ランタイムパッケージの使用と生成、CMakeのサポート、CPUの並列実行による驚異的なコンパイルパフォーマンスを実現するバッチコンパイルなど、驚異的なコンパイルパフォーマンスを実現)が施されました。これに続き、新リリースでは、AVX2までの最新の命令セットの公式サポートや、さらなるコンパイラパフォーマンスの向上など、より一層の品質改善といくつかの機能強化が加えられています。

12.3では、C++コードの問題を検出するのに役立つClang「サニタイザー」をサポート。AddressサニタイザーとUndefined Behaviorサニタイザーに対応しました。C++コードの安全性と品質向上に役立てることができ、安全なC++コードの作成に大いに貢献します。

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The new C++ code safety project options page

Android API Level 35をサポート

RAD Studio version 12.3では、2025年8月からのGoogle Play Storeアプリの必須要件となる最新のAndroid API Level 35をサポートします。新しいAPIレベルのサポートに加え、複数のテクノロジーサポートが含まれ、新しいNDKターゲット、16 KBページサイズのサポート、新しいプロビジョニングオプションと権限などにも対応しています。これにより、Delphi開発者は最新バージョンのAndroid OSをターゲットとした最先端のAndroidアプリの構築を継続できます。

さらに、Android SDK のインストールを管理するのに役立つビジュアル ツールをリリースします。これは Android SDK Manager と呼ばれ、アクティブなサブスクリプションを持つ顧客向けに Delphi で利用できます。このツールの詳細については、近日公開予定のブログ投稿で詳しく説明します。

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The new Android SDK Manager in Getit

Smart CodeInsightの改善

RAD Studio 12.2では、新たにAIプラグインのオープンアーキテクチャを導入し、AI LLMをコーディングに活用できるようにしました。すぐに使えるソリューションとして、3つのオンラインソリューション(OpenAI、Gemini、Claude)と、1つのオフラインソリューション(Ollama)をサポート。Smart CodeInsightでは、これらのソリューションを自由に選択可能(デフォルトでは無効化)。プライバシー/セキュリティ要件に合わせて、最適な選択を行い、AI LLMをコーディングに活用できます。

RAD Studio 12.3ではSmart CodeInsightに改善が加えられました。チャットエクスペリエンスの強化にフォーカスし、そのUIに拡張機能を追加。AI関連のエディターコマンドとの統合が強化されています。

チャットウィンドウではMarkdownをサポート。適切に書式化された読みやすい出力が提供されたほか、テキスト内コマンドや追加されたボタンを使用してエディターコンテンツを読み取ることができます。同時に、エディターで発行されたコマンドを、エディター自体ではなくMarkdown対応のチャットウィンドウに結果を送信するオプションも用意。応答のフォーマットが改善されています。さらに、Smart CodeInsightの設定ダイアログには、AIエンジンから取得された使用可能なモデルのリストを用意。AIベースの新しい「ユニットの検索 / ヘッダーの検索」コマンドも提供されています。

RAD Studio 12.3 の統合 AI チャット ペインでは、エディターのコードに基づいてプロンプトを作成できるため、Markdown がサポートされ、IDE とのより深い統合が実現されています。

The MarkDown formatted display of the chat window in 12.3 and the integration of editor content via macros

64-bit IDE「初期リリース」を提供開始

RAD Studio 12.3では、64-bit IDEの初期リリースの提供を開始しました。この初期リリースは、利用可能な機能に制限があり、ターゲットプラットフォームとして64-bit Windowsのみのサポートですが、非常に重要な製品マイルストーンとなります。64-bit IDEは、IDE自体にほぼ無制限のメモリ空間を提供。インストール済のコンポーネント、エディターやデザイナーに加え、統合コンパイラなどがこの広大なメモリ空間を利用できるため、非常に大規模なプロジェクトをビルドする際に役立ちます。また、64-bit IDEでは、設計時にも64-bitで動作するため、64-bitクライアントドライバーしか提供されていないデータベースに対しても、設計時アクセスが可能になります。さらに、64-bit IDEでは、LLDBベースの新しいネイティブDelphiデバッガーエクスペリエンスの構築を進めており、今後、この機能の強化により、現状の32-bit IDEからリモートデバッグにより64-bitアプリケーションをデバッグする方式よりも、はるかに優れた機能を提供できるようになります。

64-bit IDEの初期リリースは、従来の32-bit IDE(デフォルトバージョン)と併せてインストールされます。開発者は、どちらか一方を使用するか、両方を同時に使用することができます。

64-bit IDEは初期リリースであるため、32-bit IDEと機能的にはまだ同一ではありません。データベースサポートを含むVCLおよびFMXアプリケーションの設計、コーディング、デバッグなどほとんどの機能が用意されており、Win64向け開発の「日常的なIDE」として使用することができます。ただし、初期リリースでは、Win64以外のプラットフォームをターゲットにすることはできません(32-bit IDEは引き続きすべてのプラットフォームをサポートします)。また、Visual Assist for C++、タイプライブラリ サポート(ActiveXおよびCOMライブラリなど)は、まだサポートされていません。また、Delphi向けのリファクタリング/メトリックもサポートされていません。

また、RAD Studio 12.3 Professionalには、Delphi Win32 / Win64コンパイラの 64-bitバイナリバージョンも含まれており、32-bit IDEから単一の実行可能ファイルとして非常に大規模なアプリケーションをビルドすることも可能になりました。この機能は、12.2では、Enterprise版およびArchitects版のみで提供されていたものですが、12.3からはすべての有償版で提供されます。

RAD Studio 12.3 64-bit IDE and 32-bit IDE work side-by-side

FireDACとデータベースサポート

12.3では、FireDACとデータベースアクセス全般に関して、TFDTableコンポーネントを用いたSQLクエリーのフィルタリング改善、refindユーティリティによるIBXからFireDACへの移行サポートなどが加えられています。また、64-bit IDEで64-bitドライバーによるアクセスの設計時サポートも追加されています。
特定のデータベースドライバーに関しては、以下を新たに正式サポートしています。:

WebStencilsの改善

RAD Studio 12.2で導入されたWebStencils,は、WebBrokerおよびRAD Serverテクノロジーに対するHTMLファイルのサーバーサイドのスクリプトベースの統合/処理を実現します。これにより、RAD Studioのサーバサイドアプリケーションから提供されるデータを活用した、任意のJavaScriptライブラリによるモダンなWebサイトの構築が可能になります。

WebStencils の主な目的は、RAD Studioが提供するWebテクノロジー(WebBroker、DataSnap、RAD Server)とサーバーサイドスクリプトの提供により、これらをベースとしたナビゲーション型のWebサイトの構築をサポートすることです。WebStencilsを用いれば、任意のCSSおよびJavaScriptライブラリを使用したHTMLページにおいて、DelphiまたはC++Builderを使用して取得した実データ(データベースクエリーの結果など)を表示させることができるようになります。さらに、WebStencilsは、Web開発ソリューションとしてのHTMXの基盤としても利用できます。

RAD Studio 12.3では、WebStencilsが拡張され、ネストされたデータセット内のネストされたオブジェクトとサブテーブルへのアクセスも可能になりました。また、WebStencilsディレクティブに関連しない場合の「@」記号の処理がより柔軟になり、UTF8文字の処理が改善されています。

BLEとBluetooth

12.3では、BluetoothおよびBLEサポートの品質改善が施されています(特にmacOS、iOS、Android向けサポートで改善を実施)。この変更には、BLE送信の構成が変更されたときに呼び出される新しいイベントも含まれます。

Delphi LSPの改善

CodeInsight機能の基盤として機能するDelphi LSP(Language Server Protocol)エンジンは、品質と安定性の面でさらに拡張され、LSPでコードを解析する際のコンパイラによる処理方式に改善が加えられています。さらに、32-bit IDEと64-bit IDEの双方で、Windowsターゲット向けの64-bitバージョンのDelphi LSPエンジンを使用できるようになったことで、メモリ制限なく、大規模なコードベースの適切なサポートが可能になりました。12.3では、この64-bitバージョンのエンジンを、Professional版を含むすべての有償エディションで利用可能になりました。

Delphi RTL、VCL、FireMonkeyの品質改善

RAD Studio 12.3では、Delphi RTLとVCL / FireMonkey UIライブラリに数多くの改善が施されています。

VCLに関しては、VCLスタイルに関連する品質改善、VCLコントロールにおけるHigh DPIサポートの改善、その他の一般的なUI品質の改善、TImageCollectionエディターの機能強化などが加えられています。FireMonkeyについては、VCLスタイルからFireMonkeyスタイルを生成する新しいツール、Skia4Delphiのアップデート、TMemoに関する追加の改善、Windows以外のプラットフォームにおける動的スタイル読み込み、WindowsにおけるZ-Order Manage の改善などが加えられています。

12.3では、RAD Studioに含まれる双方のUIライブラリに大幅な品質改善を継続的に提供しています。ユーザーから寄せられたレポートに対応するとともに、コア機能や使用頻度の高いコンポーネントの内部実装を積極的にリワークしていくことで、全体的なパフォーマンスと安定性を向上させました。

RAD Serverの改善

12.2より、RAD ServerではWebStencilsとの統合をサポートし、RAD ServerのWebサービス開発機能にWeb開発機能が加わりました。12.3では、JSONレスポンスの日付と時刻のフォーマットの改善、emsserver.iniのMasterSecretとAppsecret値の難読化オプションの追加、インスタンス全体のカスタム変数の概念、エンドポイントを非表示にする新しいEndpointHide属性の追加などの拡張が加えられています。

さあ始めましょう

RAD Studio、Delphi、C++Builder 12.3 の製品トライアルが利用可能になり、最新版がオンライン ストアで公開されています。有効なアップデートサブスクリプションに加入している方は、カスタマーポータルで12.3をダウンロードしてください。ログイン後、画面左のメニューから「My Downloads」を選択すると12.3のダウンロードイメージにアクセスできます。

ダウンロードイメージは、https://my.embarcadero.comのカスタマーポータルで入手できます。

詳細については、次のリンクを確認してください。

素晴らしいリリース

私たちは、RAD Studio 12.3 Athens のためにチームが行った作業に非常に満足しており、皆さんもこの新しいバージョンの RAD Studio、C++Builder、Delphi を楽しんでいただけると確信しています。

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