エンバカデロでは、Delphi / C++Builder / RAD Studio 11 Alexandria Release 1の提供を開始しました。 この新リリースは、バージョン「11.1」とも呼ばれ、従来のバージョン番号付け(10.4など)では「10.4.1」に相当する、バージョン11に対するアップデートリリースになります。
RAD Studio 11.1 Alexandriaのリリースでは、使いやすさ、パフォーマンス、安定性の向上に重点を置いて、RAD Studio 11で導入された優れた機能を強化しています。 また、新しいデータベースドライバを含むいくつかの新機能も含まれています。 さらに、RAD Studio 11.1リリースは、11.0の出荷後にリリースされたオペレーティングシステム(Windows 11、macOS 12 Monterey、iOS 15、およびAndroid 12)を公式にサポートします。Delphiも一部のプラットフォームで新しいデバッガ技術に切り替わっています。
このブログでは、RAD Studio 11.1の主な新機能と拡張機能のいくつかに焦点を当て、最も関連性の高い品質アップデートについて説明します。
Table of Contents
IDEの改善
11.1では、RAD Studio IDEのさらなる機能強化/機能改善を主なフォーカスポイントとしています。
- High DPIサポートとリモートデスクトップアクセス機能の更なる改善
- High DPI対応のFireMonkeyデザイナ、VCLスタイル対応/High DPI対応のVCLデザイナの改善
- 11.1の新しいウェルカムページでは、背景画像を提供し、新しい Open Tools API を使用してカスタムフレームの追加をサポート
- GetItパッケージマネージャの機能強化(画像のキャッシュ、VCLのTControlListコンポーネントをベースにしたUI実装の再構築など)
またIDEの新機能もいくつか追加されています。
- メッセージビューでは、コンパイラのエラー、メッセージ、ヒントに異なる色を使用し、問題個所をより適切に強調表示できるようになりました。(色はカスタマイズ可能)
- 「新規アイテム」ダイアログは、各アイテムが対応しているプラットフォームをわかりやすく表示
- 「コンパイル」ダイアログには、現在のコンパイル設定で使用しているプラットフォームとビルド構成が表示
Delphi/C++BuilderのCode Insightの強化
RAD Studio 11.1のもう一つの重要な品質改善のフォーカスポイントとして、DelphiとC++の両言語のCode Insightの改善があります。
C++言語のCode Insightの実装は、 LSP(Language Server Protocolアーキテクチャとcqueryをベースにしており、品質とパフォーマンスの面で改善されました。この分野は、エンバカデロが積極的に取り組んでいる分野であり、近々新しいフォーカスアップデートをリリースする可能性があります。
Delphi LSPエンジンもパフォーマンスが大幅に向上し、多くのプロジェクトでError Insightの読み込み/更新時間が5~30倍高速化しています。クラス宣言時の入力補完では、型パラメータの表示に対応。ジェネリック宣言時の「T」や集合型(set)の表示にも対応しています。
コンパイラとデバッガ
各プラットフォーム向けのDelphiおよびC++コンパイラは、安定性とパフォーマンスの点で改善されました。 DelphiおよびC++BuilderのWindowsコンパイラは、ASLR、DEP/NX、および TSAWAREプラットフォームのセキュリティ設定を追加でサポートし、デフォルトでこの設定が有効になっています。またRAD Studioのバイナリやランタイムパッケージは、これらの設定を有効にしてビルドされるようになりました。
デバッガについては、一般的な品質管理の他に、Delphi macOS 64-bit ARMおよびAndroid 64-bit向けデバッガも、Delphi iOS 64-bitデバッガで採用済のLLDBデバッガアーキテクチャがベースに変更されました。これにより、Delphiデバッガは、サポートされているほとんどのプラットフォームでLLDBベースに統合され、今後の品質向上がさらに加速されます。
さらに、C ++ STLとRTLでも品質改善を実施。STLイテレーターを使用した動的配列の改善など、Delphi RTLとのよりよい統合を実現しています。
RTL、UI、データベースライブラリ
11.1では、DelphiのRTLのコア部分にいくつかの最適化と品質向上が行われました。TStreamを継承した新しいTURLStreamクラスは、非同期操作をサポートしています。またTOSVersionのデータ構造では、Windows 11およびWindows Server 2022をサポートしました。
VCLの機能強化では、TTreeView、TRichEdit、TEdgeBrowser、TLabelledEdit、TNumberBoxなどの改善、フリッカー対応とダブルバッファリング、VCL HighDPIとスケーリングなどの改善を加えています。
さらにWindows App SDK(すでにWebView 2とMSIXを含む)のサポートをするため、DelphiでWinUI 3ライブラリを使用するためのデモをGetItパッケージマネージャ経由で提供しています。詳しくは、https://blogs.embarcadero.com/ja/delphi-winui-3-demo-ja/をご覧ください。
FireMonkeyでは、TListViewの品質改善、Android SDKの統合、TWebBrowser、Windows向けHigh DPI関連の問題、パフォーマンスといった領域で改善を施しています。
データベースライブラリに関して、11.1のFireDACでは、構造ビューの統合、MariaDB 10.6、SQLite SEE、Firebird 4の新しいデータ型サポートなどを追加しています。RAD Studio 11.1では、DataSnapの品質改善やAndroid向けWebBrokerアプリケーションデプロイ機能の改善も加えられています。
最後にRAD Serverでは、ログのハンドリング、バックアップ管理、データベース検証などのSysAdminエンドポイントのほか、RSLite向けデプロイ機能の統合などが加えられています。
大幅な品質改善と数多くのバグ修正
RAD Studio 11.1 Alexandriaリリースには、お客様やサポートチームから報告された問題に対応する品質改善が多く含まれます。このリリースには、Quality Portalサイトで報告された632のバグの修正が含まれるほか、お客様から寄せられた30の機能リクエストに対応しています。
AWS、Pythonとの統合
11 Alexandriaのリリースより、Enterprise / Architectユーザーは、Delphi向けの新しいAWS SDKプレビュー(Apperceptからライセンス提供)が入手できるようになりました。また、Python開発者は、無料でPython向けDelphi UIライブラリをダウンロードできるほか、RAD Studioアプリケーションで、Pythonライブラリを利用できるようになりました。
詳しくは、以下の情報を参照ください。
Pythonの統合:
https://blogs.embarcadero.com/introduction-to-python-gui-development-with-delphi-for-python-vcl-fmx/
今すぐ11.1をダウンロード!
本日より、RAD Studio / Delphi / C++Builder 11.1 の無料トライアルをダウンロードできるようになりました。また、新たにバージョン11を購入される方は、アップデートされた製品ビルドのダウンロードURLが案内されます。アップデートサブスクリプションまたは上位のサポートプログラムに加入されている方は、既存のライセンスを使用してRAD Studio 11.1をポータルサイト(https://my.embarcadero.com)からダウンロード/インストールできます。詳細は、新リリースのご案内メールにてお知らせします。
関連情報:
- 11.1 Alexandriaの新機能
- DocWikiの新機能情報 – 11 Alexandria – Release 1
- 11.1で修正されたお客様から報告された問題(英語)
- RAD Studio 11機能一覧(PDF)
- GitHubのアップデートされたRAD Studio 11のデモ
- RAD Studio 11.1 Alexandriaグローバルウェビナー
RAD Studio 11.1の情報は、3月22日(火)17時よりオンライン配信される「エンバカデロ・デベロッパーTV」でも採り上げる予定です。